ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2010年08月25日
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 ああ、またもやENDLICHERI☆ENDLICHERIに魅了されてしまうわけだ。やはりこのアーティストはジャニーズやアイドルの枠内で計られるべきではないのだろう。たしかにギターの土屋公平、竹内朋康、ベースの鈴木渉、ドラムの屋敷豪太、キーボードの十川ともじ、パーカッションのスティーヴ・エトウ等々の、バックをつとめるミュージシャンの錚々たる顔ぶれがそれを許さないというのはある。だがしかし、彼らを従えなければ達成されないものがある、おそらくはそのような確信をパフォーマンスによって見事再現してみせたところに、ENDLICHERI☆ENDLICHERIの、中心の点である堂本剛の、最大の価値を見られたい。

 昨日(8月24日)、ENDLICHERI☆ENDLICHERIの「CHERI E」と題された今回のツアーを国立代々木競技場第一体育館で体験したのだった。去年の公演を記すさいにも述べたが、ENDLICHERI☆ENDLICHERIにおける堂本剛とは、ケリーというペルソナを得たマルチなパーソネルである。超ど級の演出ではなく、まさしく音楽の鳴り響くさまを通じ、この世界と現在と自分との関係を、三角形状にこしらえられたステージの上に切り出していた。

 いくつかの曲は入れ替わっていたものの、セット・リストは去年と大きく変わらない。ただし、このツアー全体の主旨がそうなのか、偶々この日のモードがそうであったのか、ちょっとわかれないのだけれども、ハイなテンションとポジティヴなフィーリングが前面に出、全体的なイメージはだいぶ違って感じられた。抑圧のなかでがんじがらめになった苦しみを余裕で蹴飛ばすかのような頼もしさが、楽曲の表情を、屈託のないかわり、昂揚を目一杯詰め込んだものへと変えている。

 ジャム・セッション的なパートが混沌としていなかったぶん、1曲1曲がタイトに決まっていたようにも思う。とはいえ、まあMCのコーナーが長かったのもあるが、およそ3時間のあいだに披露されたのは10曲ちょっとであって、バンドの演奏がフレキシブルであればあるほど、素材がフル以上の構成を経、ライヴならではの脈を持っていくスタイルは健在、生きるというのは不確定な出来事の数々から他には替えられない一瞬を掴み取ることなのだ、と、ファンキッシュなグルーヴに教えられる。

 序盤に繰り出された「傷の上には赤いBLOOD」の、あの、ホーン・セクションとぴょんぴょん跳ねる(じっさい観客もぴょんぴょん跳ねる)リズムに合わせた〈傷の上には赤いBLOOD・この世に降りた意味鳴らせ・罰当たりと云われてみても・いいんじゃない? ねぇ夢見ようか〉というフレーズが、うなだれた気分の向こうに晴れ間を覗かせる。そして本編のラストを飾った「これだけの日を跨いで来たのだから」の、あの〈悲惨な出来事なんて・あるのが当たり前じゃない? これだけの日を跨いで来たのだから・あたしたちはね・歩んでいるの・一歩一歩と人生って道を〉というフレーズが、どこまでも伸びやかなヴォーカルと相まって、決して困難に負けてはならないと背中を押す。

 それにしても、ハイなテンションとポジティヴなフィーリングのまざまざとしていたのはどこよりも何よりも、アドリブのインストゥルメンタルで場面を繋いでみせるアンコールではなかったろうか。だいたい、去年のそこから生まれてきたのが「音楽を終わらせよう」であったことを考えれば、後半に出現したヴォーカル入りのナンバーは完全に風向きを異にする。

 とくに派手だったのは、なんと竹内朋康がギターを置き、マイクを手にし、ラップをやり出したあたり、である。堂本剛はベースへと回り、主人公は完全に竹内だといってもよかった。ヒップホップのアーティストとコラボレイトする機会が多いだけであって、そのアジテーションもなかなか堂に入っている。しかし重要視したいのは、これによりロックやファンクをすでに内包していたENDLICHERI☆ENDLICHERIが、ヒップホップふうのアトラクションをもこなせると実証した点にほかならない。要するに、可能性の幅にまだまだ広げられるだけの余地があることを、見事にあらわしていた。

 実際、その後に堂本剛が即興の歌詞でヴォーカルをとったラストの楽曲は、これまでと同様に愛をテーマにしながらも、その愛がひたむきな顔つきで迷いに負けない力強さを寄越す、ENDLICHERI☆ENDLICHERIにとっては初期の衝動みたいでもあり新しい鼓動にも似た祈りを、間違いなく、描き出していたのである。やがて巨大なカーテンがステージを包み込む。そして最後には誠実な余韻がちゃんと残された。

・その他堂本剛に関する文章
 DVD『薬師寺』について→こちら
 『RAIN』について→こちら
 コンサート『ENDLICHERI☆ENDLICHERI CHERI 4 U』(09年8月19日・国立代々木競技場第一体育館)について→こちら
 『空 〜 美しい我の空』『美 我 空 - ビ ガ ク 〜 my beautiful sky』について→こちら
 『I AND 愛』について→こちら
 『Coward』について→こちら
 「ソメイヨシノ」について→こちら
 [si:]について→こちら
 『僕の靴音』について→こちら
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