
全4巻で完結したところから振り返るに、きたがわ翔が弁護士マンガを描いた、以上の感想を持てなかったかな、というのが、この『BENGO!(ベンゴ!)』である。ラストまでの内容にはいくつかの変節があったように思う。松下弁悟、若林航大という二人の主人公の因縁、対立、協力、葛藤の法廷ドラマを経、最終的には〈弁護士がバーテンをしながら気軽に相談に乗る こんな面白いバーがあったら市民は大喝采するんじゃないかと思ったんです〉このような発想のもと、弁護士バーを開いた「SHOWSO」の面々が、困りに困った依頼者の相談に応じていくスタイルとなった。序盤と終盤とでは、ずいぶん物語の形式が違っているのは、紆余曲折というか、試行錯誤というか、結局はうまい具合にアイディアが安定しなかったふうにも見えてしまう。職業ものにおいて定番とすべきパターンを引き受けるかどうか。この一線の上で、迷い、ずるりとこけ、落っこち、着地点もあまりはっとこない。
・その他きたがわ翔に関する文章
『ガキホス』
2巻について→こちら
1巻について→こちら
『デス・スウィーパー』
5巻について→こちら
4巻について→こちら
1巻について→こちら
『刑事が一匹』
7巻について→こちら
6巻について→こちら
5巻について→こちら