ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2010年06月20日
 マサムネ (ヤングキングコミックス)

 このマンガ、『マサムネ』における木村シュウジのタッチは、どこか『軍鶏』のたなか亜希夫を思わせる。おそらくはそこに注意すべきであろう。不良少年を題材にしたマンガの歴史はすでに古く、ここ最近目新しくなってきたのは、ケンカ自体を熱心に描くような作品が増えてきたことである。いや、その手のジャンルにケンカはつきものでしょう、という向きもあるかもしれない。が、じっさい多くの作品にあたってみればわかるとおり、他のジャンルに比して、必ずしもアクションのシーンは豊富ではなかったのだけれども、それが変わってきているような印象を受けるのだ。一つにはたぶん、表現の様式的な問題であって、ヤンキーやギャングによる闘争がストリート・ファイト型のアプローチと密になった結果、具体的な打撃戦でページの埋められる機会が高まったからなのではないか、と推測される。ともすれば、上條淳士の『赤×黒』や、たなか亜希夫(原作・橋本以蔵)の『軍鶏』、森恒二の『ホーリーランド』などに見られたアイディアの、格闘技抜き、よりヤンキイッシュな変奏といってよい。いずれにせよ、『マサムネ』という作品もまた、ケンカ、ケンカ、ケンカの迫力を前面に、不良少年たちのアティテュードを講じようとしているのだった。主人公の金田正宗は、かつて恩を受けた立花が教師として勤める天領高校に通うことを喜ぶのだのだが、しかし立花は、工業科を取り仕切る尾張勝信に重傷を負わされ、現在絶対安静の状態に陥っている。これを発端に、正宗と勝信とその周辺がばちばちのバトルを繰り広げていく。ストーリーはひじょうに簡素であって、大部分をはったりで通している。個々のカットに勢いの溢れているところが良い。骨太な絵柄もじつに生きている。残念なのは、ドラマのレベルにまったくひねりがないため、次第に単調さのつよまってしまう点である。また、〈暴力は俺にとって――――秩序だ 俺の秩序(ルール)に例外は無いんだ わかるだろ?〉という勝信と〈ド突きド突かれはお互いを認め合うためのもんや それが俺の喧嘩や 支配のための暴力は 俺は認めんわい〉という正宗の、ある意味テーマに類した対決からは、それが両者の立場を違えている以上の説得力を、最後まで得られずじまい。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。