![メフィスト 2008年 05月号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51udR1ZmrzL._SL160_.jpg)
『メフィスト』5月号掲載。西尾維新の『きみとぼくが壊した世界』は、ストーリーを細かく語ることを、できれば差し控えたくなるような内容の小説である。たしかに設定上は、『きみとぼくの壊れた世界』の直接の続編にあたり、あの病院坂黒猫と櫃内様刻のコンビが、日本を飛び出し、はるかイギリスはロンドンで大暴れ、で、この作者にとってはじめて海外を舞台にした小説といえるようないえないような、と、適当な説明をすることは可能だが、しかしそれ以上は、いちおうミステリの形式で書かれているこの小説の、最大のサプライズを損なうことになりかねない。そうした前提のうえで、個人的な印象を述べるとすれば、ああ、これはもしかすると西尾維新版『1000の小説とバックベアード』ということもありうるのか、と思う(人によっては、西尾版『キャラクターズ』であったり西尾版『九十九十九』と見たりするかもしれないが)。まあ、それというのは単純に『きみとぼくが壊した世界』が、佐藤友哉の『1000の小説とバックベアード』と同じように、ある意味、小説を書くことについて書かれた小説でもあるからで、たとえば作中で行われる議論のいくつかは、佐藤が『1000の小説とバックベアード』の宣伝と解説のために発表した「1000の宣伝とバックベアード」と共鳴し合うところがある。部分によっては、それからの引用かと見紛うほどの相似性を持っていたりする。なぜ、小説は、書かれ、読まれ、そして忘れられてゆくのか。『きみとぼくが壊した世界』のなかで起こる事件は、書かれたものが届けたいところに届かない責任は作者にあるため、存在するようなものだとさえいえる。だがそれを、私小説ふうのダウナーなモノローグではなく、あくまでもユニークでチャーミングな作中人物たちによるアッパーなエンターテイメントとして、見事に描ききっている点に、やはり、この作者の魅力はよく出ているのだろう。ネタが割れてしまえば、今どきの読み手には、それほど凝っている構造ではないに違いないけれども、とりあえず展開のされ方には、意表を突かれる。
『不気味で素朴な囲われた世界』について→
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こちら・その他西尾維新に関する文章
『零崎曲識の人間人間』単行本について→
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こちら 『トリプルプレイ助悪郎――第二回「二人」』について→
こちら 『トリプルプレイ助悪郎――第一回「唯一」』について→
こちら 『ニンギョウがニンギョウ』について→
こちら 「コドモは悪くないククロサ」について→
こちら 「タマシイの住むコドモ」について→
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こちら 『総特集 西尾維新』ユリイカ9月臨時増刊号について→
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